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命を着る。共に生きる。

なぜ人はレザーを愛するのだろうか。

「なぜ人はレザーを愛するのか」

いや、そう始めるには語弊があるように感じる。

なぜ人は、「天然革素材」に魅力を感じるのか。

 

それは素材に命が関わっているからだと感じる。

 

牛の性別や成長具合によって、その名前も特徴も価値も変わっていくカウレザー。

一般的なカウレザーとして使用されるステアハイドは生後2年以上の去勢された雄の革である。
ブルハイドと呼ばれる素材は、去勢されてない雄牛の革。丈夫で厚いが傷が多く高級品には使用されないものの、耐久性を求められる製品には雄牛の闘争心が詰まったこの素材が用いられる。

去勢されていないオス牛と対局にあるのは生まれたての子牛。
生後半年以内の子牛で作られるカーフスキン。生後3ヵ月の子牛の革は最高級品。

出産経験のあるメス牛も薄く柔らかい素材となる。
ブライドルレザー。皮財布などに加工しやすく耐久性も十分な素材だ。

意識をしていても無意識であっても、私たちは革製品に何かを感じているような気がする。
何を考えていたかは忘れたが、ふと財布を見つめながら命を持ち歩いているという考え方に自分らしくもないユーモアを感じていた。

なるほど。
レザージャケットはまさに命を着ていることに等しい。

あなたにとって、レザージャケットとはどんな存在だろうか?

 

 

 

シングルかダブルか

 

誰かを置いていくような内容にはしたくないので
逐一、簡単に説明させてもらいたい。

 

左がシングル、右がダブル

シングルライダースとは、前立てが1つのジャケット。
パッと上から羽織れるような普段着でも合わせやすいシンプルでクールな作り。

ダブルライダースは前立てがダブル。2つある。
その存在感と男らしさ。武骨でありながら、どこか繊細さを感じるつくりだ。

 

ふとクローゼットに足を運んだ。
随分と着てないライダースも多いが、1つ1つに個人的な歴史がある。
これまでに譲ったものはあれど、捨てたライダースなど1つもない。

右からシングルが4着。ダブルが1着。シングルが2着。ダブルが3着。
古いものが一番左に来るように掛けられている。

 

ダブルにこだわったが、一度シングルに浮気して、ダブルに戻った。

しかし、ダブルに戻った時に、妻に言われた「年齢を考えて」の一言。

 

鏡に映った自分を見直した。

 

 

いや…でも…んんん…似合わないのかなぁ??

 

バイク乗りとして、ライダースへのこだわりがある。

しかし、バイカーのこだわりも妻の一声に揺らぐことはある…

その後は、妻の目を気にしてか、着こなしのためにかシングルが並ぶようになった。

 

今思えば、妻はダブルかシングルかという話ではなく、ライダース自体に物を申していたのかもしれない。

 

この小さな歴史博物館を眺めていると、
ライダース一着一着への想いは、このクローゼットと共に思い出で補完されていることを感じる。

 

 

 

共に歴史を刻む相方

安物のレザーは伸びやすく傷の付き方が格好悪い。
明らかに「何かに負けた」ような傷が付くのだ。
筆者が求めるライダースはタフだ。傷の付き方が違う。
その傷を形容するならば、「闘いの中で負った勲章」に近い。

 

ライダースに傷が付くことも擦れることも恐れていない。
筆者はそういうタイプのバイカーだ。

ライダースというパートナーと時間を共有する。
一生もののライダースジャケットを手に入れることも素晴らしいことだ。しかし、筆者は数こそ多くはないが、その時その時の出会いでライダースを選び、自分の一時のメインパートナーを変えていっている。そして、何かを思い出したかのように前に購入したライダースに手を取りバイクにまたがる。

綺麗に保つことも大切だが、自然に生きる中で付いた傷はどんなものでもいとおしく感じる。目立つような傷は見るだけで何があったのか、その時の記憶と共に思い出す。むやみやたらに傷つけようとするのではなく、自然に生きた中で付いた傷にこそ、その価値がある。

まぁそうは言っても、流石におろしたてに付く初めての傷だけは、少しショックを隠せないものだ。特にターコイズのルイスレザーGTモンザ(70s)が、デビュー初日で強く擦れた時には、バーの中で大声をあげて他の客を振り向かせてしまったものだ。

しかし、その初めての傷が付いたショックが少しずつ和らいできた頃から、自分とライダースの人生が始まるような感覚になるのも事実なのである。もしかしたら、初めての傷が大きければ大きい程に、強い愛情を抱くようになっているのかもしれない。

長年バイカーとして、ライダースジャケットを着用しているが、読者の皆さんはどんな基準でライダースを選んでいるだろうか。

 

 

 

ライダースを選ぶ基準

 

着心地

まず、1つにライダースを選ぶ基準に着心地がきてしまうことはない。

ライダースファンには分かると思うが、そもそもライダースの魅力は「服としての武骨さ」にあると感じる。そして、その武骨さが身体に馴染んでくる。自分自身が着慣れてくると同時にレザー自体が身体の動きのクセに合ってくるような感覚だ。

バイクを乗りこなす感覚に近い感動を覚える。バイクにまたがった瞬間にキュッとくるようになったら、そのライダースは間違いなくあなた専用のパートナーとなる。

中古のライダースもいいだろう。
誰かの身体に引き伸ばされた革を自分のものにするまで。
肘の位置が少しずつ自分のものになっていく感覚もまたレザーならではの喜びである。

着心地は後から付いてくるのである。

 

サイズ

他の衣類でも当然だが、サイズ感は非常にライダースにとって重要な部分になってくる。
最も重要なのは、ライダースの設計は我々日本人のために作られたものではない。

外国人の着る和服、着物はどこか四角いイメージになってしまう。
それの逆で、ライダースを日本人が着ると少し丸く見える。

日本人がライダースを選ぶ際に注意しなければならない点を紹介しよう。

 

 

肩幅

ライダースのカッコ良さは肩幅にあるといっても過言ではない。
キュッとしつつも肩幅が張ったところから腕のラインが鋭角に伸びる。
この美しさを出すため、肩幅は少しきつめで良い。
肩幅にゆとりを求めると、肩が撫でたようなフォルムになってしまうので注意だ。

 

着丈

好みはあると思うが、筆者は「骨盤の中間」あたりにくるものをオススメしたい。
もう1つの基準として、「腰骨より少し上」の短めもある。これは昔の短めに着る流行りの1つ。筆者としては、年齢を重ねることにより体型が崩れても、格好良さをキープできる骨盤中間の着丈が長く着るコツの1つと考える。

 

袖丈

袖丈に関しては非常に難しい。それは人によって筋肉量が違うところにある。
ライダースは、目で見えるサイズで選ぶより実際に着て目と肌で感じ取る。
身体的特徴と袖丈の関係性が如実に出るものだ。
その中で言えることは、袖から出る少しの手首。その先の手にライダースのフォルムの美しさがある。手首にかかるような長めの袖丈は言語道断。手首に付けた腕時計がキラリと光る。そのくらいの塩梅が丁度良い。

 

身幅

先述した通り、天然素材のレザーは身体に馴染んでくるものだ。
出来るだけ引っ掛かりを作って着る。そうでないとライダースはダサくなってしまう。
バイク乗りの筆者は重ね着をすることが多いので、それを想定して身幅を調整している。逆にTシャツ1枚にライダースを羽織る。HIGH-LOWSのような着こなしをする人にとっては、キチっとキツメでフィットするものをチョイスするべきだろう。ゆったりしたものを選ぶのはオススメしない。

 

ライダースの基本は、自分の身体に革を馴染ませること。
ある程度、肩あたりにキュッとした感じと袖丈の丁度良さ。
身幅の基本は重ね着をするかしないか。それを見越してフィット感を感じる程度に。

しちゃいけないことは「余裕を持たせてはいけない」の1つ。

ライダースジャケットに余裕や余計は必要ない。
そんな武骨な判断基準でありながら、これから時間を共にするパートナーとして、繊細にサイズを決めていきたいものである。

 

 

 

素材

 

 

素材によって、強度や防水性や着心地は全く違う。
特にライダースジャケットはメンテナンスのしやすさも重要項目である。

自宅で出来るレザーメンテナンス

 

天然素材レザーといえば、カウレザー(牛)かホースレザー(馬)に決まっている!

と、筆者は声を大にして言いたいのであるが、そんな主観のみを書いても記事にはならないことくらい理解している。話を続けよう。

 

トラディショナルなライダースには、カウレザー、ホースレザー。
この2つの他にシープスキン、ラムスキンが主流革素材としてあげられるだろう。

マイナーな革素材も調べてみたが、ヘビやワニなど含めて20種にも及ぶらしい。
一般的に販売される中で、特筆しておくべきはディアスキン(メス鹿)であろうか。

この項目では、主な素材とその特徴を簡単ながらに紹介することにする。

 

・ステアハイド(牛)

筆者がカウレザーの中でも、ステアハイドを推している。
オールドスクールな素材が好きだ。
ステアハイドは生後2年以上の去勢された雄の革素材。
オススメする理由は、その耐久性とメンテナンスのしやすさ.
なんといっても、長年使うことによる変化の味がいい。他の素材にはない独特さがある。また「傷もまた良し」とする筆者のこだわりに、カウレザーはピッタリだからだ。防水性が弱いことがデメリットとしてあるものの、武骨を極めたワガママなボディの固さが男心をくすぐってくれるのである。

 

・カーフスキン(牛)

生後3ヵ月以内の子牛の革を使用した素材。薄くて柔らかい。
耐久性に欠けるため、大切にレザーを着たい人向けと言える。
長く着た時の変化は格別で、ステアハイドに比べるとかなり着心地は良い。
メンテナンスにも、やや気遣いが必要になる。希少価値の高い素材。

 

・ホースハイド(馬)

馬革の特徴は、柔軟性が魅力。ライダースの素材といえば、ホースハイドと言う人も多い。
「ステアハイド以外にライダースは存在しない。」と言っていた筆者も、ルイスレザーGTモンザに出会うことによって、馬革素材の素晴らしさに気付いた。ルイスレザーのデザインに惹かれた。ステアハイドではないが一着くらい持っておこうという気持ちでホースハイド素材のライダースを購入した。何よりも「薄くて軽いのに強度がある」という点、また時間が経ったホースハイドが出すツヤとダンディな雰囲気に惚れ惚れした。着心地も耐久性も十分。自身のこだわりを変えてくれた思い入れのある革素材である。

 

・シープスキン(羊)

比較的、カジュアルなレザージャケットに使用されている。生後1年以上経過した羊の革素材。キメは少し荒いが着心地は良い。個人的には時間が経つと、味というより劣化というイメージがする。ルイズレザーも多くシープスキンを出しているので、お手頃な価格でライダースを着るならシープスキンでもいいかもしれない。

 

・ディアスキン(雌鹿)

メス鹿の革素材。鹿の身体能力を彷彿とさせる柔らかでしなやかな肌触り。カウレザーに比べて軽いのに水や摩擦に強く通気性も良い。着心地も良いが、環境に強い素材のため変化も少ない。筆者としては、物足りなさを感じてしまうが、レザーのカシミアとまで言われる希少なレザー。いつまでも老いないパートナーが欲しい方にはオススメとなるだろう。

 

 

カラー

(画像転用先:http://face666.blog27.fc2.com/blog-entry-709.html )

当たり前だが、ライダースジャケットは黒が全てではない。
何度もコラム中に出てくるルイスレザーGTモンザのターコイズカラー。
パッと見た瞬間に、心を奪われた人も少なくないだろう。

ライダースジャケットは、色で遊んでみていいと考える。明るいブラウンもいい、灰色は黒のライダースの中で確かな個性が出るし、ハッキリした自己主張の強い真っ赤なライダースも魅力的だ。

他のライダースと差を付けるためにも、良い素材で勝負し色で見せつける。
これもまたライダースの面白さである。

 

 

過去のライダースジャケットと新たな歴史を刻む

バイクには未だにまたがるが、髪を整えて格好を付けて乗ることは息子が生まれてからはしなくなった。

何度か息子を前に抱えて近隣を走った記憶はあるが、自分以外を乗せて走ることなんて久しくしていない。

そういえば、昔バイクにお金をかけすぎて、お金がないことをごまかすために、記念日に妻を後ろに乗せてツーリングをしたことを思い出した。

最愛の家族との歴史もライダースと共にある。

 

クローゼットの一番右にあるライダースに手を伸ばす。
初めて買ったライダースは、RAMONESに憧れて買ったschott(ショット)のダブルライダース。

何も分からず、schottのダブル。それだけで買ったのだ。
RAMONESのTOMMYみたいなライダースが欲しかった。よく見たら全然違った。
それでも、schottのワンスターライダースは一番長く着ていたかもしれない。

15年ぶりに袖を通す。

すると、思いのほか着こなせているような気がした。
当時、サイズなんて気にせず買ったことが功を奏したみたいだ。

きっと、当時これを着ていた筆者は、ブカブカのライダースを着たちんちくりんに見えたことだろう。

 

もう随分と前から、メンテナンスはしていないので、味はあるが革も固くなってしまっている。

「こいつを着て、もう1回一緒にバイク乗りたいなぁ。」

何か湧き上がるような気持ちを感じた。
今まで、ライダースを自分でメンテナンスはしても、リペアやリカラーなどに出すことはしなかった。

ライダースとの時間が色あせてしまうと思っていた。

 

ああ、そうか。
新しいライダースを買ったとしても、お世話になったライダースとの時間は
自分の気持ちの中だけではない。今ここに、その命はあるのだ。

 

写真を撮っておこう。
これで、いつでも思い出せる。

我々がレザーを愛しているのは、そこに命が関わってるからだ。

そうレザーは今も生きている。
これから先の歴史を共に刻むために。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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